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2026.01.16
循環器科

動脈管開存症(PDA)

概要

動脈管開存症(Patent Ductus Arteriosus, PDA)は、犬において最も発生頻度の高い先天性心疾患です。メスでの発生が多く、犬では遺伝性であることが知られています。好発犬種としては、プードル(トイ、ミニチュア)、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、コリーなどが挙げられます。猫でも先天性心疾患の7~11%を占め、まれに遭遇する疾患です。
動脈管は大動脈と肺動脈を短絡する血管であり、胎児期には肺へ血液を流さないようにするために必要ですが、出生後はその役割を終え、自然に閉じるべき血管です。これが閉じず、両大血管の短絡路として遺残してしまう状態をPDAといいます。大動脈を流れる血液が肺循環に戻り、心臓や肺に負担をかけてしまいます。左右短絡で短絡血流が少ない場合は無症状であることもありますが、短絡血流が多い場合は呼吸促迫や発咳、肺水腫などの左心不全徴候を呈し、発育遅延が認められることがあります。治療が遅れた場合は肺動脈が硬化し、右左短絡となり、分離性チアノーゼや、虚脱、後肢虚弱、失神、多血症など、肺高血圧や右心不全(アイゼンメンジャー症候群)を起こします。未処置の場合には1~3年で半数以上の症例が亡くなってしまうため、早期の外科治療が重要です。

 

実際の症例

犬、ポメラニアン、メス、7ヶ月齢、1.5kg
発育不良を主訴にかかりつけ医を受診し、心雑音が認められたため、当院を紹介されました。

検査所見

当院受診時には呼吸促迫を呈しており、聴診にて左側心基部を最強点とするLevine5/6の連続性雑音、心エコー検査およびレントゲン検査にて心拡大と肺水腫、開存した動脈管(径6.6mm)と大動脈から肺動脈へと流れ込む血流(図1)が認められました。

診断

検査結果からPDAと診断しました。病状を説明し、ご家族は手術をご希望されたため手術を実施しました。

手術の実施

左第4肋間開胸、動脈管(図2)を糸で結紮し閉鎖しました。動脈管の血流が消失したことを確認し閉胸、手術を終了しました。

術後経過

手術翌日には元気に退院し、術後1ヶ月での検査ではPDAは認められず(図3)、心臓のサイズも正常化していました。現在も症状はなく、元気に過ごしています。