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2025年7月7日
【受賞のお知らせ】 院長が最優秀学会発表賞を受賞しました!
当院院長の上野雄史が、第122回日本獣医循環器学会にて「最優秀学会発表賞(症例報告の部)」を受賞いたしました。
発表演題は、「イヌで初報告となる心基底部の異所性上皮小体腺腫 ― 高カルシウム血症から診断に至った1例 ―」です。
本症例は無症状の犬が健康診断で受けた血液検査をきっかけに高カルシウム血症が発見され、精査の結果、心基底部に腫瘤性病変が確認されたものです。
腫瘍は大動脈や肺動脈に近接し、さらに軽度の心嚢水貯留も認められました。
心嚢水の進行によっては心タンポナーデ(心臓の拍動が制限される危険な状態)に至る可能性もあったため、早期の診断と治療が非常に重要でした。
本症例では、外科的生検と病理組織学的検査、免疫染色により異所性上皮小体腺腫(副甲状腺腫瘍)と診断されました。
こうした腫瘍が心基底部に発生することは極めて稀であり、今回の報告はその臨床的意義が評価されました。
術後は内科的治療を併用することで血中カルシウム濃度の安定が得られ、現在も良好な経過を維持しています。
また、無症状の段階で疾患を発見できたことは定期的な健康診断の重要性を再認識させるものであり、早期介入によって深刻な合併症を回避できる可能性があることを示唆しています。
今後も日々の診療から得られる知見を大切にし、よりよい医療の提供と動物医療全体の発展に貢献してまいります。